ストレスについて
個人を取り巻く環境が変化すると、それまでと違ったやり方で新たな環境に対応することを要求されます。すると、環境の変化に適応しようとして、内部にストレス反応とよばれる緊張状態が誘起されます。このように、さまざまな面で変動の多い現代はストレスの時代であるともいえます。
これは誰にでも起こることであり、いろいろな障害から身を守るなど、課題に挑戦する際に必要な反応です。ストレスの影響を強く受けるかどうかは個人差がありますが、過度のストレスが続くと、精神的・肉体的な健康に影響を及ぼすことになります。
〜あなたのストレスをチェックしてみましょう〜
1.
目が疲れやすい。
2.
動悸やめまい、立ちくらみすることがある。
3.
急に息苦しくなるときがある。
4.
胃の調子が悪い(食物が胃にもたれるような気がする)。
5.
頭が重く、すっきりしない。
6.
仕事など何かをするとすぐ疲れる。また疲れがなかなか抜けない。
7.
朝、身体がだるく、気持ちよく起きられない。
8.
食欲がなく、何を食べても味気ない。
9.
寝つきが悪い。夜中に何度も目が覚めたり、早朝に目がさえてしまう。
10.
よく夢を見る。
11.
お茶やコーヒー、間食の回数が増えた(人より摂取する量が多い)。
12.
口内炎、耳鳴り、下痢・便秘などの症状がしばしば現れる。
13.
むなしい、不幸だ、孤独だと感じる(理由もなく涙が出ることがある)。
14.
他人の言動やささいなことが気になる。
15.
人から誤解されることが多く、批判されると心が乱れる。
16.
友達にも気を許せない。
17.
決心がつきかねることが多い。
18.
緊張してイライラすることが多い(ちょっとしたことにも腹が立つ)。
19.
人と会うのがおっくうで、新聞やテレビも見る気がしない(何もしたくない)。
20.
人が認めてくれないと仕事への意欲がわかない。
21.
何もすることがないと、かえって落ち着かない。
22.
食事や休憩に時間を割くのがもったいない。
23.
疲れていても無理して仕事をすることが多い。
24.
なかなか「ノー」といえない。
25.
家庭(プライベート)より仕事を優先しがちである。
チェックした項目の合計 →
個
該当する項目数
4個以下
・・・
特に問題なし
5〜10個
・・・
軽度のストレス状態。趣味やスポーツなどで気分転換を図る
11〜20個
・・・
中程度のストレス状態。残業を減らすなど無理をせず休養をとる
21個以上
・・・
重度のストレス状態。生活習慣病になりやすい。精神科の専門医に相談を
成城墨岡クリニック 精神科医 墨岡孝 著 「テクノストレスからくる疲れをとる本」より
ストレスと免疫機能との生理的結びつき
強度および慢性の心理的ストレスは免疫機能を抑制し、免疫力を低下させます。その結果、病気にかかる可能性が強まります。
とくに慢性の心理的ストレスはガンを発生させる可能性が高くなります。また、免疫機能を抑制するストレスはホルモンのバランスを崩します。そのような状態になると、異常細胞を破壊する能力がいちばん弱まり、異常細胞の増殖を促進することになるといわれています。
ストレスに深い関係のあるふたつのホルモン
ストレスによって大脳皮質や視床下部などが刺激されると分泌量が増える「副腎ホルモン・コルチゾール」と、脳幹から脊髄を通る自律神経によって分泌が促される「副腎髄質ホルモン・アドレナリン」のふたつのホルモンが深く関わっていると考えられています。
【コルチゾール】
抗炎症作用、肝臓のグリコーゲンを増加させる、血圧を上げるという作用があります。
【アドレナリン】
血管を収縮させる、瞳孔を散大させる、血圧を上昇させるほか、腸弛緩、気管支の拡大、心拍数の増加などさまざまな作用があります。
ストレスが脳機能を麻痺させ、記憶を消してしまう!?
ストレスがたまりコルチゾールが放出されると、それが脳の主記憶中枢(海馬)による血糖の利用を邪魔します。海馬に十分な血糖が届かなければ、エネルギーが不足し、脳は記憶を化学的に残す方法がなくなります。その結果、確かに体験したのに、思い出せないということが起こります。これが、ストレスにさらされた人の瞬時、短期記憶障害の原因です。
コルチゾールの生産過剰は、脳伝達物質の機能を邪魔します。そのため、たとえ記憶が過去に正しく残されたとしても、簡単には取り出せないようになり、脳細胞はお互いに情報交換できなくなり、頭が混乱します。これが、コルチゾールを「集中力の殺し屋」と呼ぶ理由です。そして、強いストレス下で「我を失う」理由です。
コルチゾールの過剰は、脳細胞を死滅させます。これは、コルチゾールが通常の脳細胞代謝を一時的に不能にするときに起こります。そして、過剰なカルシウムが脳細胞に入ることになります。このカルシウムは、最終的には「遊離基(フリー・ラジカル)」と呼ばれる分子を生産し、 それが内部から脳細胞を死滅させます。これが長期にわたると、何十万個もの脳細胞が死滅します。
(Dharma Singh Khalsa, M.D./ダーマ・シン・カルサ米国医学博士著、"Brain Longevity"/「脳寿命」)
過度のストレスは、自律神経のバランスをも乱す
緊張や、強いストレスを受けると胃が痛くなったり、トイレが近くなったりするのは、このせいです。なぜなら、血液の循環(心臓)、胃の消化(胃腸)、呼吸(肺)などの動きは、 自律神経で調節しているからです。そして、長期的・継続的に強いストレスにさらされると、生命恒常性(ホメオスターシス)が維持できなくなり、病気になります。
ストレスが関係しているストレス病
ストレスの影響は消化器系、循環器系、内分泌器系、神経・筋肉系、免疫・アレルギー、精神といったさまざまな領域に及びます。代表的なものでは、アトピー性皮膚炎、喘息、高血圧、糖尿病、自律神経失調症、うつ病、睡眠障害、胃・十二指腸潰瘍、円形脱毛症、メニエール症候群、耳鳴り、難聴、 口内炎、生理不順、インポテンツなどが挙げられます(日本成人病協会の資料より)。
ストレス対策
ストレスの正しい知識を得る。
健康的な睡眠、運動、食習慣によって心身の健康を維持する。
自分自身のストレスパターンを認知しておく。
リラックスできるようになる。
ネガティブに考えないようにする。
自分の感情や考えを上手に表現する。
時間を有効活用する。
趣味や旅行などで気分転換を心がける。
ストレス対策を上手く取り入れ、より健康的な生活を送りましょう。
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