タヒボは、“薬草の宝庫”アマゾンが産地です。タヒボの原料は、ノウゼンカズラ科に属するタベブイヤ・アペラネダエという樹木で、原木は高さ30メートル、幹の直径1.5メートルに逢するものもあるということです。この内部樹皮(靭皮部)を粉にしたものが、タヒボです。
その薬木としての歴史は1500年前にさかのぼります。古代インカ帝国のインディオたちが、この樹木の内部樹皮を煎じ、健康の維持や病気からの回復のために飲んだといわれています。
そんな古代からの知恵が脚光を浴びることになったのは、サンパウロ大学農学部名誉教授で、植物学の権威であるウォルター・ラダメス・アコーシ博士が、その効果を科学的に検証し発表したことがきっかけでした。
アコーシ博士は、タヒボに含まれている70種類におよぶ有効成分を発見し、そのなかには強力な抗がん作用のある物質も含まれていることを突き止めました。
アコーシ博士は、著書のなかで、研究の成果を次のように述べています。
「私は、長期間にわたって、さまざまな進行段階にある、あらゆる種類のがん細胞を持つ患者さんたちに、まずタヒボの靭皮部の煎じ薬やチンキ剤を服用させてみました。そして、その結果は驚くべきものだったのです。完治に成功した例、病気が止まった例、病状が著しく好転した例など、驚くべき結果が私の目の前で繰り広げられたのです。もはや取り返しのつかない末期の忠者には、苦痛のない安らかな死を与えました」
このアコーシ博士の成果を受け、京都府立医科大の徳田巻邦博士と京都大学薬学部の上田伸一博士(故人)が、さらに詳しく研究を進めました。お二人は、最近になって、非常に高い抗がん性のある物質がキノン系の色素であるNFD(ナフト・プラン・ディオン)であることを突き止め、アメリカと日本で特許を取得しました。アメリカでは「抗がん剤(悪性腫瘍を処置する方法/がんの治療と予防)」という名称で、1997年に特許を取得し、その年、日本でも「発ガンプロモーション阻害剤」として特許を取得したそうです。 がんが増殖して大きな塊になるには、3つの段階を経るといわれています。
まずは、イニシエーションという段階です。
この段階では、遺伝子が発がん物質やウイルスや放射線によってがん遺伝子となります。発がん物質、ウイルス、放射線など遺伝子を傷つけるものをイニシエーターと呼びますが、この段階では、まだがん抑制遺伝子によって、細胞ががん化するのを防ぐことができます。ところか、そこにプロモーターと呼ばれる、細胞のがん化を進める要因が加わると、がんが発生します。ストレスや疲労、脂肪の過刺摂取などがプロモーターとなります。
そして、次の段階になって、がんが大きな塊になります。細胞時計のところで説明しましたが、細胞分裂は、アクセルとブレーキのバランスによって秩序が保たれています。しかし、がん細胞にはその秩序がありません。つまり、イニシエーターによってアクセルが踏まれ、プロモーターによってブレーキが離されるのです。
車はものすごい勢いで突き進んでいきます。止まることを知らず、周りの車や人を傷つけながら暴走します。これが第二段階です。がんが大きな塊になり、体調に異変が起きるのも、もう間近という状態です。先の特許でいう[発ガンプロモーション阻害剤]は、この第2段階に作用するものです。
ブレーキが効かなくなってしまうのを阻止するわけです。アクセルも踏まれているけど、ブレーキもしっかりと効いている。だから、暴走しない。そのうちに、アクセルを踏む力が弱まり、がん化が防げるという仕組みです。細胞ががん化寸前まで行っても、それ以上進ませない効果がタヒボにはあるのです。 |