何ともかわいい名前ですが、この物質には、なかなか強力な抗酸化作用があることがわかってきました。
ドイツのデュッセルドルプ大学の動物実験では、抗酸化物質としてよく知られているβ-カロテンを超える抗酸化力があることかわかりました。動物の体内に活性酸素を発生させ、β-カロテンとリコピンを与えることで、どれくらいの細胞が死ぬのを防げるかを調査したものです。
その結果、β-カロテンでは細胞死の割合が約3分の1だったのに対して、リコピンを与えたものは8分の1に抑えられました。この報告によって、リコピンは抗がん物質として一躍注目を集めるようになったのです。
リコピンは、トマトにたくさん含まれています。トマトの赤い色素がリコピンです。アメリカのハーバード大学での調査では、トマト料理を週に10回以上食べている人は食べない人に比べて、前立腺がんになるリスクが45パーセントも減ったという結果が出ており、トマトの効果は実証済みです。
リコピンは、熟して赤くなったトマトほどたくさん含まれています。いわゆる完熟トマトを使ったものでなければ意味がありません。普通のトマトの3〜4倍ものリコピンを含んだリコピントマトも出ています。 |