高麗人参は、ウコギ科の植物です。滋養強壮の漢方薬として、とてもポピュラーで、多くの愛用者がいます。中国では、すでに2000年前に著された漢方医学の原典に高麗人参の効能が紹介されています。
これほど長い間多くの人々に愛用されてきたのも、それだけの効用があるからです。疲
労回復をはじめ、虚弱体質の改善、抗ストレス、動脈硬化の予防、血糖値の改善、がんの予防など、さまざまな効能があるといわれています。
とりわけ、精神面に対して二つの優れた作用があるとされていますが、面白いことに、この二つの作用はまったく正反対の作用なのです。
一つは「鎮静作用」で、もう一つは「興奮作用」です。
鎮静作用は、短距離走が得意な人がマラソンのような長距離を走ったとき、後半にはバテてしまうように、最初は興奮して張り切って取り組んでも、やがて疲労してきて気力がすっかり萎えてしまうという場合に働きます。最初の興奮時に鎮静作用が働くことによって、心身が一時的に過度なパワーを消費するのを抑え、長い間持続力を発揮できるようにしてくれます。
反対に、興奮作用は、最初から気力が萎えていて、何に対しても無気力状態にある場合に働きます。体内の細胞や臓器の働きを活発にして体のバランスをとり、積極的に取り組めるよう気持ちを高めてくれます。
高麗人参のこの相反する二つの作用は、ジンセノサイドという人参サポニンの働きによるものです。
高麗人参は、疲労回復のスタミナ剤といわれていますが、肉体的疲労ばかりではありません。精神的疲労にも有効です。精神的なストレスがあるときは、高麗人参によってホルモンのバランスを保ち、副腎皮質ホルモンの分泌を調整することで、体に抵抗力をつけることができます。
高齢者のなかには、神経の消耗が続くと、無気力になったり、うつ気昧になったりする方がいますが、そんなときには、高麗人参は非常に有効とされています。
がんの患者さんのなかにも、ショックのために、無気力状態になったり、うつの症状が出たりする方がいますが、そういうときは気持ちだけでなく、それにともなう食欲不振が続き、体力も弱っていることがよく見られます。
心身両面のパワーアップ効能がある高麗人参は、貴重なサプリメントといえます。 |