緑茶ががんにいいという話はお間きになったことがあると思います。
緑茶の名産地と言えば静岡県ですが、静岡で「お茶の国際会議」が開かれたことがありました。そこで、緑茶をたくさん飲んでいる地域ではがんになる人が少ないという発表がありました。
胃がんの発生率の報告があったのですが、緑茶をたくさん飲む静岡県内の地域では、全円平均の20〜30パーセントの発生率しかありませんでした。
長年飲まれているというのは、単なる習慣ということだけではなくて、体にいいから飲まれ始め、それが習慣化したという経緯があると思います。緑茶というと、あまりも日常的な飲み物なので、有難味か薄いかもしれませんが、緑茶を飲まない国だったら、「日本にはがんに効くすごいお茶があるらしい」と話題になっても不思議ではありません。
この緑茶ががんを抑制するのは、お茶の渋味の元になっているカテキンという成分作用によるものです。 カテキンの効果について医学的に検証したのは、京都府立大学第一外科のグループでした。マウスに十二指腸がんを誘発させる物質を与え、4週間飼育。これらのマウスを、普通の水を与えるグループと、カテキンの主成分であるエピロカテキンガレートを毎日投与するグループに分けました。そして16週目に、十二指腸がんの発生率を比較してみました。
すると、顕著な結果が出ました。水を与えていたグループのがん発生個数は、30匹中20匹だったのに対して、カテキンを投与したグループは、6匹だけでした。
胃がんに対しても同じような実験が行われました。これも顕著な結果が出ました。水だけを与えたグループのマウスは、34匹中21匹にがんが発生したが、カテキンを与えたグループでは、35匹中11匹の発生にとどまったのです。
こうした実験から、カテキンは胃がんや十二指腸がんなど、消化器系のがんに効果があるのではないかといわれるようになりました。
また、予防の面では、カテキンの殺菌力が注目されています。カテキンによって、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の原因とされているピロリ菌を除去することができます。ピロリ菌は、最近になって、胃がんや十二指腸がんの原因ともいわれるようになってきました(早期胃がんが発見された人のピロリ菌感染率は95パーセント以上)。
治療のため、予防のため、緑茶なら1日10杯以上、粉にしてふりかけのように食べるのも有効です。ただし、農薬がたくさん使われているものもありますので、茶葉は吟味して選んでください。 |