カモミール(フランス語)はハーブティーとして親しまれていますが、女性に人気が高く、化粧水や入浴剤にも使われています。
ヨーロッパ原産のキク科の野菊で、直径2センチほどの花に特有の香りがあります。古代エジプト時代から使われている、最も古いハーブの一つで、ヨーロッパでは4000年前から薬草として使われてきました。日本では、カミツレ(オランダ語)の名前で民間治療薬として知られてきました。
カモミールといえば、まずは香りです。独特の甘酸っぱいリンゴのような香りは、好きな人と嫌いな人に分かれますが、心地よく感じる人はとても気持ちを落ち着かせてくれるといいます。
緑茶やコーヒーに含まれるカフェインには興奮作用がありますが、別名“グッドナイト・ティー“ともいわれるカモミールには鎮静作用があり、就寝前にカモミールティーを飲むと、睡眠誘導作用が働き、スムーズに眠りに落ち、ぐっすり熟睡できます。就寝前に入る風呂の入浴剤に使われるのも、この香りを体にまとって床につくと、ゆったりリラックスした気分で眠りにつくことができるからでしょう。
イギリスの童話「ピーターラビット」のなかに、興奮して疲れた子供のピーターに、お母さんがカモミールティーを飲ませて寝かせるシーンがありますが、イギリスでは一般にカモミールが鎮静・睡眠に使われていたことがわかります。
心地よい香りは、心身の痛みをやわらげてくれます。
がんと診断され、頭が混乱し、心の乱れが続いて、なかなか寝つけない方、あれこれと深刻に思い悩んで、精神的にすっかり疲労してしまっている方には、カモミールで心をリラックスさせてください。
ハーブティーでゆっくり過ごす時間を持つというのも、ひとつの心理療法です。カモミールには、成分自体に心を静める効果がありますから、朝、出掛けにサプリメントをあわただしく飲み込むというのではなくて、午後のひとときをアフターヌーンティーとして楽しめば、心にゆとりができ、免疫力アップにつながります。
なお、カモミールには、強い抗炎症作用もあることが知られています。
肌を潤す保湿作用や髪に艶とハリを与え、抜け毛を防ぐ作用もあります。入浴剤やシャンプーに使われているのも、こうした皮膚や毛髪への作用があるからです。 |