アガリクスは、ブラジル原産のハラタケ科に属するキノコで、学名はアガリクス・ブラゼイ・ムリル(本書では以後、アガリクスと表記)です。1965年に食用として日本に持ち込まれ、人工栽培されたアガリクスは、ヒメマツタケという和名で呼ばれています。
食用としては普及しませんでしたが、さまざまな研究の結果、1980年に三重大学医学部による免疫活性成分の発見を契機に、その後の動物実験でも抗がん作用が認められたこともあって、がんの特効食品として注目され、一気に有名になりました。
まずは、アガリクスが免疫を賦活(活性化)させる作用を
調べた実験の結果をご紹介しましょう。
この実験は、アガリクスによって、どれくらいマクロファージが活性化するかを調べたものです。マクロファージは、異物が体内に侵人したときに真っ先に駆けつけ、それを食べてしまったり、切断したりして退治する、免疫細胞の先兵的な役割をしています。同時に、異物の情報を免疫システムに伝えるという重要な役割も果たしています。他の免疫細胞群は、この情報を得ることで、その異物を排除すべく最適な動きをすることができるのです。
マクロファージは活性化されると、活性酸素や酸化窒素化合物など殺菌作用のある物質を盛んに放出します。このときに、グルコース(ブドウ糖)をたくさん消費しますから、マクロファージの活性状態は、グルコースの消費の度合いを見ることによって測定することができるのです。
グルコースをたくさん消費していれば、マクロファージは活性化していると考えられます。マクロファージは、免疫全体に大きな影響を与えますから、その活性化の度合いは、免疫システム全体の賦活度合いとも連動しているはずです。
この実験では、菌糸体と子実体との比較も行っています。
前述のグラフをご覧ください。結果は、アガリクスによってグルコースの消費量かアップしています。アガリクスに免力を高める作用があることがおわかりいただけると思います。
しかし、アガリクスに免疫作用があることは理解できても、アガリクスのサプリメント商品は数え切れないほどの種類が市場に出ています。どれを選んでいいのか、迷ってしまうというのが現状でしょう。
アガリクスと名の付いたものなら、どれもが同じように効くというわけではありません。アガリクスの名前が付いてはいても、アガリクスのどの部分を使用したものか、どういう栽培方法で育てたものか、どういう製法でつくられたものか、などの要素によって、ほとんど効かないものからよく効くものまで、千差万別だと思います。 |