放射線とは、電磁波や高速の粒子です。しかし、放射線は光とは違い、目で見たりなど、人間の五感では感じることができないものです。物質中に放射線が走ると、そのラインに沿って物質の分子が「陽イオン」と「陰イオン」に分かれる電離が起きます。放射線治療の分野で放射線というときは、空気などを直接、または間接に電離する放射線だけを指します。 |
放射線治療で利用される放射線は主にX線と電子線です。X線とはレントゲン写真に利用される放射線と同じ種類のものです。X線は人間の体を透り抜け、X線が透ったところにはX線の持つエネルギーが与えられ、その部分が治療されることになります。 |
電子線とは、電池や蛍光灯の中を通過する電子と同じものです。電子線はX線と異なり身体を透り抜けることができず、そのエネルギーを人間の体表で失ってしまいます。したがって、皮膚の表面に近い場所や、身体の深いところに重要な臓器があり、放射線をあてたくないときなどに用いられます。 |
放射線を照射すると、ガン細胞は分裂ができなくなり、成長、増殖が抑えられます。正常な細胞も放射線によって障害を受けますが、この障害をできるだけ少なくし、ガン細胞だけに最大の効果を発揮するように、放射線発生装置の特性によって使い分け、照射法を工夫して治療します。 |