フジテレビキャスターの黒岩祐治氏の著書『末期ガンなのにステーキを食べ、苦しまずに逝った父』(講談社刊)が発刊され、その記念として「ガン患者と家族のクオリティ・オブ・ライフを考えるトークサロン」が、この8月10日(月)、東京・神田・学士会館で開催されました。
ゲストには漢方医学の第一人者で未病医学研究センター所長の劉影先生(東京大学特認教授)を迎えて、お二人でガンについての考え方から漢方による健康法、医食同源、未病や生活習慣病予防、QOLなどについて語り合いました。
講演内容(一部要約)
『末期ガンなのにステーキを食べ、苦しまずに逝った父』という本は、末期ガンを奇跡的に完治させた私の父の闘病記です。ガン宣告をされ、藁をもつかむ思いになった患者さんやその家族が溢れる情報に振り回され、何でもいいから試してみたいという心境なったり、どれが本当の奇跡で、どれがデタラメな奇跡なのか?きちんと仕分けしてくれる人がいたら、どれだけ助かるかという思い。
「奇跡なんてない」というのが今の日本の医療の基本的な考えの中で、医療とは全てエビデンスに基づいたサイエンスなので、怪しげな民間療法や、いかがわしい健康食品の情報に惑わされることなく、国が認定した西洋医学の体系にすべてまかせておきなさいというのが、国の医療政策の基本なのです。父の奇跡的な回復について、日本の医療、すなわち西洋医学の権威は誰も説明ができません。「何でも例外はあるもの」というのが“科学的な”答えのようです。しかし、はたしてそうでしょうか?「例外の裏にこそ今のサイエンスでは解明されていない真実があるのではないだろうか?」そう考えるのが、ほんとうの科学的思考というものではないのでしょうか?
毎年およそ30万人、死亡者の3人に1人がガンで亡くなっています。日本は世界一のガン大国です。ガン患者が増えるのはある程度、長寿社会の必然とは言え、日本のガン治療に国民は満足しているのでしょうか?エビデンスに基づいた西洋医学の科学治療は万能と言えるのでしょうか?
父に起きた奇跡が、ほかの人にも再現できると私は自信を持って語ることはできません。しかし、再現して欲しいと思っています。それくらい素晴らしい“奇跡”だったからです。医師から見離された末期の巨大な肝臓ガンを見事に完治させ、授かった残りの時間の一刻一刻を母といとおしむように過ごし、家族に感謝し、朗らかに、聡明に、最後の、最後までステーキをほおばり、ビールを飲みながら、ふっと消えるように昇天していった父。
日本の医療のあり方が変われば、これは父に起きた特別の奇跡ではなくなるに違いないと信じています。
黒岩祐治氏 プロフィール
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フジテレビジョン報道局解説委員・キャスター
国際医療福祉大学客員教授。早稲田大学大学院講師。1954年神戸市生まれ。1980年早稲田大学政経学部卒業後、フジテレビジョン入社。報道記者、番組ディレクターを経て「FNNスーパータイム」「報道2001」「新報道2001」のキャスターに。「黒岩祐治のメディカルリポート」(医療福祉チャンネル774)も放送中。2年間のワシントン駐在も経験。自ら企画・取材・編集を手がけた救急医療キャンペーンが救急救命士誕生に結びつき、放送文化基金賞、民間放送連盟賞を受賞。1994年から放送の「感動の看護師最前線」シリーズのプロデュースキャスター、ミュージカル「葉っぱのフレディ」のプロデューサーも務める。著書に「日本を再生するマグネット国家論」(新潮社)、「恩師の条件」(リヨン社)など。 |
劉影博士 プロフィール
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医学博士、東京大学特認教授、未病医学研究センター所長
中国・北京出身。中国国立中医薬大学卒業後、WHO統一試験合格により来日。米国カリフォルニア州にて東洋医学の資格を取る。順天堂大学医学部で医学博士号を取得。東洋医学と西洋医学の結合により未病と生活習慣病予防の研究・開発に携わり多くの実績をあげている。近年では、現代女性の生涯に関わる未病医学、アンチエイジングの研究開発や情報発信。漢方文化の普及に力を注ぎ、高い評価を得ている。BSフジ「薬食美人2」では、コシノヒロコさんとともに司会進行役を務めている。 |
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